流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)

流行性耳下腺炎とは

俗にいう“おたふくかぜ”で、“ムンプス”ともいいます。

約半数に37~38℃台の発熱が2~3日みられます。

耳の前下方のほっぺたの唾液腺(耳下腺)とあごの下の唾液腺(顎下腺)が腫れて、痛みを伴い、熱を持ったりします。

両側同時に腫脹する場合と片側が腫脹して1~2日遅れて反対側が腫脹する場合もあります。

また、片側だけで終わる事もあります。

不顕性感染(感染しても症状の出ないこと)は低年齢に多く、30~40%にみられます。)

-原因

ムンプスウイルスによる急性全身性の感染症です。

唾液が感染源となり、飛沫感染および接触感染を起こします。

潜伏期は2~3週間(多くは約18日)です。

発症の約1週間前から、ウイルスを排出しており、感染力があります。

-診断

臨床症状とおたふくかぜの人との接触歴(流行)から診断します。

不顕性感染者もウイルスを排出しますので、接触歴がはっきりしないこともあります。

血液検査(ウイルス抗体価の測定)でも診断できますが、結果は1週間ぐらいかかります。

他の耳下腺炎を起こす病気として、反復性耳下腺炎、化膿性(細菌性)耳下腺炎があります。

またムンプスウイルス以外に、エンテロウイルス、パラインフルエンザウイルス、サイトメガロウイルスなどでも耳下腺炎を起こすことがあります。

耳下腺炎を繰り返す場合は血液検査をしたほうが良いでしょう。

-合併症

無菌性髄膜炎が最も多く、3~10%程度に見られます。耳下腺腫脹後3~5日で発症することが多く、症状は長引く発熱と頭痛、嘔吐です。

数%に膵炎の合併を認め、激しい腹痛や嘔吐に注意が必要です。

膵炎は糖尿病の原因となることがあります。

小児ではまれですが、思春期以降の男児には約10%に精巣炎を合併します。

睾丸の腫脹と疼痛を認めますが、大半は片側のみで終わり、不妊の原因になることはまれです。

また、まれに片側性難聴をきたすことがあります。

難聴は気づかれにくく、回復は困難で聴力障害を残します。

-治療

特別な治療法はありません。

安静と水分、栄養の補給に努めます。

発熱や痛みに対して解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンなど)を使用します。

すっぱい食べ物は唾液を分泌させ、痛みを増強しますので避けましょう。

髄膜炎や膵炎の合併があれば入院が必要です。

-予防

学校伝染病の第2類に分類され、出席停止期間は耳下腺腫脹が消失するまでと定められています。

潜伏期や不顕性感染でも感染力がありますので、隔離による予防は困難です。

予防法はワクチン接種しかありません。

おたふくかぜワクチンの有効性と副反応

ワクチンによる抗体陽転率は90~95%です。

副反応は3%以下で、比較的安全なワクチンです。

まれですが重大な副作用として、アナフィラキシーショックの報告があります。

ワクチンでも無菌性髄膜炎を合併することがありますが、数千人に1人程度とされ、自然感染に比べると頻度も低く、症状も軽くすみます。

接種の2~3週後に発熱や軽い耳下腺腫脹を認めることがありますが一過性に軽快します。

発熱、頭痛、嘔吐などがあれば髄膜炎の可能性があります。

-反復性耳下腺炎

5歳未満に多く、耳下腺腫脹の原因としておたふくかぜの次に多い病気です。

突然、片側または両側の耳下腺に痛みと腫れをきたし、発熱はあっても微熱です。

症状は1~2週間持続し、年に数回反復します。

原因は不明で細菌感染の合併が無ければ保存的に経過を見ます。

腫脹部位をマッサージして、唾液の分泌を促すことで症状を軽減できます。

予後は良好で、ほとんどが15歳までに自然に起こさなくなります。

流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
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